2024年6月8日(日)10:00〜12:00
参加者:大人5名/子ども2名
ファシリテーター:高口ようこさん
朝10時、江古田に集まった私たちは、まず自己紹介と「最近食べた美味しいもの」の話からスタートしました。
びわ、お友達からいただいた島らっきょうの天ぷらなど美味しそうな食べた物が——それぞれの「美味しい」の話でみんな少しリラックス。
そして始まったのは、「頭に浮かんでいる言葉をあてるゲーム」。
高口さんの頭の中に浮かんでいるモノは何?——「それは食べ物ですか?」「この部屋にありますか?」「固いですか?」と、イエスかノーだけで探っていく遊び。これが思いのほか盛り上がり、より場がほどけてきました。
答えは、「チーズケーキ」「コップ」「樋口一葉」——子どもも大人も、思考のスイッチがカチッと入る。
中でも、小学生の子が選んだ「樋口一葉」は、大人たちを唸らせるナイスなチョイスで、思わず拍手がわきました。
そんなウォーミングアップを経て、本題へ。
今回は「テーマを決めるところから対話を始める」というスタイル。
小学生の参加者が「宇宙や生き物は、どうして存在しているのか?」という疑問をずっと持っていて、でも友達に聞いても誰も答えてくれなかったから答えを教えて欲しい——と、まっすぐな眼差しでその問いを口にしてくれました。
他にも「生き物のかたちはなぜこの形?」「〜らしさって何?」「人と同じであることは善なのか?」など、豊かな問いが並ぶ中、最終的に選ばれたのはやはりこちら。
——宇宙や生き物は、なぜ存在しているのか?
「でも、哲学対話には、正解は、ないので答えは、教えられないですよ」とファシリテーターの高口さんからの補足が。
壮大な問いに、私たちは少し黙って、それから少しずつ、言葉を重ね始めます。
「宇宙って、どこまでのこと?」
「人間が認識できる範囲が宇宙?」
「じゃあ、認識できないものは、存在していないの?」
ホワイトボードには、ビッグバン、マルチバース、原子のかたまり、宇宙飛行士、自然、限界、知ろうとする/しない、存在、ただあるだけ——と、たくさんの言葉が書き留められていきました。

中でも印象に残ったのは、ある小学生の一言。
「宇宙って、神様のおもちゃなんじゃない?」
その問いから、話は「じゃあ、神様はいるの?」へと枝分かれし、また宇宙に戻っていく。
この回遊のリズムが、なんとも哲学カフェらしい。

後半では、「存在とは?」というテーマが広がりを見せます。
マイノリティは、たしかに存在しているのに、なかったことにされてしまう。
けれど「ここにいるよ」と声をあげることで、つながっていける。
LGBTQの人々が増えて見えるのは、見えなかっただけで、存在していた人たちが名乗り始めたから。
「人間は知らないと不安になる。だから知ってほしい。安心を得るために、不安を払拭したい。だから多様化が進む」
「レッテルを貼られたくないと思いつつ、ラベルを持つことで安心もする」——そういう人間の二面性についても、気づかされる話が続きます。
子どもたちは後半、ちょっと飽きて本や図鑑をめくり始めました。
それもまた、私たちの哲学対話らしい風景。
大人の言葉が子どもの背中を押し、子どものひとことで大人の思考が揺さぶられる。
そんな豊かで濃い時間でした。
今回は、まさに「これは哲学だ」と思えるような、スリリングな対話でした。
ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました。
やっぱり、哲学カフェって、面白い。
次回は8月開催予定。詳細が決まりましたら、またお知らせしますね。お楽しみに!
後日談として、参加の子どもたちは、二人とも「自分の問いをみんなが色々と考えてくれて、自分の話も聞いて貰えて、とても楽しかった!」と嬉しい感想をいただきました。